今回は、時刻合わせができないと修理に持ち込まれた、Ref.14060Mをご紹介いたします。
針を回そうとすると、カチッカチッと歯が噛み合っていないような音と感触が伝わってきます。裏まわりの小鉄車、ツヅミ車あたりの破損が考えられそうです。それでは、機械の内部を見てみましょう。
まず目に入ってきたのが、日ノ裏車のポストが
飛び出しているところです。ポストにサビや
キズはありませんでしたので、再利用できそうです。小鉄車も歯先に変形が認められました。
良品と比べると一目瞭然です。
裏まわりのカバーについている車は酷い状態でした。
欠けた歯が機械内部に散っているはずです。
写真はありませんが、
隣り合うツヅミ車も変形していました。
抜いた巻真に違和感を感じ、よくみたところ先端が折れていました。
折れた先端は地板にはまり込んでいました。
貫通している反対側から押し出して事なきを得ました。
今回の原因は、日ノ裏ポストが浮いたことで、針回し時の高負荷がかかった際に車が浮き上がり、小鉄車が噛み合わなくなりロック。その状態でリューズを強引に回してしまい、その結果、歯先や巻真の破損に至ったものと考察いたしました。前回オーバーホールから6年経過しておりましたので、異変を感じた時点でお持ちいただけていたら、交換部品も少なく出来たのかもしれません。