今週も修理依頼品の中から、不良個所がわかりやすいものがありましたのでご紹介いたします。
止まってしまったため持ち込まれた Ref.114270 Cal.3130 止まりの原因はゼンマイ切れによるものでしたが、一見して内部の状態が悪いことがわかりましたので、詳しく調べてみます。
ゼンマイの中心付近、曲りがきつくなるところで切れています。腕の動きを利用して、ゼンマイを巻上げるローターの軸の部分(ローター真)にサビがでています。摩耗が進むとガタツキが大きくなり、ムーブメント本体や裏蓋と接触し、異音と大量の鉄粉が発生することになります。軽度の摩耗でしたら、磨いて再利用も可能ですが、今回は交換となります。
サビがでていましたので、確認のためサビを落としてみると、テンプの振り石と当たる部分がへこんでいました。交換となります。4番車も酷く摩耗し、サビもでていました。こちらも交換です。
今回も、10年以上メンテナンスをされていないものでした。
止まってからメンテナンスするという考えもあるかと思いますが、定期的に修理を受けた方が、精度も保たれ、余計な部品代も抑えられ、結果的にお得なのではないでしょうか。