今回は、お客様から針が暴走しているとのことでお預かりしました、Ref.1019をご紹介いたします。「針が暴走している」とは、どういうことでしょうか。詳しく調べてみます。
一見すると、問題があるとは思えないほど状態の良いミルガウスですが、よく見ていると、秒針が明らかに早く動いています。計測したところ、1分間に20秒も進んでいる状態でした。 テンプのヒゲゼンマイです。本来ならば、等間隔に巻き上げられているのですが、不規則になっています。
ここが問題の箇所です。ヒゲゼンマイが衝撃などによって乗り上げていました。その結果、有効なバネ長が短くなり、極端に進みの症状が出てしまったということです。 引っかかっていたヒゲゼンマイを戻し、微調整を行ないました。その後改めてオーバーホールを行ないます。
Cal.15**はCal.31**、32**に比べ、ヒゲゼンマイが柔らかいために、衝撃を受けたときに、たわみ幅が大きく出る傾向があります。そのため今回のミルガウスは、現行キャリバーでは起こり得ないような絡み方をしてしまったというものでした。
掃除機のヘッド部分のローラーが回らなくなってしまったので分解したところ、断線していました。線を引き直すだけでしたが、経路が狭くとにかく大変でした。