今回ご紹介するのは、15年以上ノーメンテナンスのCal.3135です。
手巻き時にリューズが回せないということでメンテナンスに持ち込まれました。
裏蓋を開けると、金属の粉がムーブメント全体に広がっています。 裏蓋にも、金属粉が付いています。
オートマチック機構を外しました。4番車のホゾは金属粉で埋まっています。 オートマチック機構の裏側には、角穴車に沿って黒い跡が付いています。ローター真もオイルが切れて摩耗が進んでいるようですが、巻上ができない直接の原因ではないので、ひとまず置いておきます。
手巻きによる巻上は、リューズ(巻真)→ツヅミ車→キチ車→丸穴車→中間車→切替車→角穴車→香箱真→ゼンマイという順に力が伝わりますので、どこに問題があるのか探していきます。 キチ車の歯が欠けています。ゼンマイまでスムーズに力が伝わっていないのに、過剰な力をかけてしまったことが原因と考えられます。
丸穴車も動きはスムーズでしたが、キチ車の歯同様、過剰な力が加わったことで一部歯が潰れています。 切替車がオイル切れにより固着していました。
ここが回らずいたために、リューズからの入力が堰き止められ、キチ車と丸穴車の歯が耐えられずに破損したと考えられます。Cal.32系の修理もちらほらと持ち込まれる一方、15年以上メンテナンスされていない場合もあります。今回、紹介していない部分の交換部品も多く発生し、高額な修理代となってしまいました。ぜひ、このようになる前にメンテナンスにお持ちください。