今回は、動かなくなってしまった、Ref.16570 V番 をご紹介したいと思います。
約10年間メンテナンスをされていない時計でしたので、ゼンマイ切れを疑いましたが、今回の時計は違うようです。リューズを解放して、ゼンマイを巻上げようとしたところ、何か引っ掛かっているようで回せません。
バックケースを開けて、内部を点検します。
丸穴車と中間車の歯が欠けていました。
かなりの力が加わったことがわかります。
通常の使用では、まず歯が欠けることは考え
られませんので、欠けた原因が必ずあるはずです。不動の原因は角穴ネジが緩み、
リバーシングホイル、巻上車と接触していたことで、
ローターによる巻上が出来なくなったこと。
そして、巻上車がロックした状態ですので、リューズによる手巻きもできません。
そこで、強引にリューズを回したことにより、丸穴車と中間車の歯が欠けたと考察できます。オートマ一式を外し、角穴ネジを締めると機械が動き出しました。しかし、折れた歯が機械内部に残っているはずですので、分解洗浄が必要です。今回は、メンテナンス不足によるネジの緩みと、その後の誤った操作が不動、破損の原因といえます。定期的なメンテナンスと、正しい操作で防げたのではないかと思います。