いくつかの部品にはエピラム液という、撥油効果のある液体をつけ、
表面をエピラム処理するものがあります。
今回は、一番効果が解りやすいと思われる、ガンギ車とアンクルについてご説明いたします。
1Lで十数万円する、非常に高額な液体です。
揮発性が高いので、蓋の開けっ放しは厳禁です。一つ一つ液につけて、しっかり乾燥させます。
エピラム処理したアンクルのツメ石のガンギ車の歯が当たる通り道だけ、エピラム効果を剥がす意味で、ガンギ車を何度か送ります。
その後、出爪側の剥がれた部分にツメ石専用のオイルを指します。
小さなツメ石の更に限られた部分のみにオイルをつけるのは、とても繊細な作業です。ツメ石を横切るように、ガンギ車の歯が通ったあとにオイルがついているのがわかると思います。
オイルの量や状態は、テンプの振り角(時計の精度)に直接影響しますので、とても重要です。
ご紹介した、エピラム処理、お客様からお預かりした時計の全てに施しております。
細かなことでも、とても重要な役割を果たしている、エピラム液。
少しでもその効果がご理解いただけたかと思います。