Ref.114270 Cal.3130 P番(2000年)
今回は時計がすぐ止まってしまうとのことでオーバーホールのご依頼をいただきました。
ご依頼品の症状の原因はオイル切れによる輪列機構の摩耗が進んでいることによるものでした。
特に、輪列機構のガンギ車の摩耗が進んでいたので状態をご紹介します。
ご依頼品のガンギ車の状態をご覧ください。ご依頼品のガンギ車を拡大したものです。
上部のホゾ(受け側)に比べ、下部のホゾ(地板側)の摩耗が進行しているのが確認できます。
ここまで摩耗が進んでしまうと、精度が極端に落ちてしまい時計が止まってしまうなどの症状がでてしまいます。
傷んでいたガンギ車下部のホゾを受けている地板側の石です。
石の中心部、円状に赤黒いものが確認できます。
こちらはオイルが古くなり、状態が悪くなったオイルや汚れが固着したものです。
ガンギ車に限らず、オイルの状態が悪くなってしまった状態では歯車の摩耗が特に進んでしまいます。受石を取り外し、拡大したものです。
写真のような固着したオイル、汚れはとても頑固です。
洗浄機にかける前段階、分解時の下洗いでも中々落ちない程に強固なものですが、怠ると精度に大きく影響がでてしまいますので、しっかり丁寧に落とします。