Ref.1675 Cal.1570 1978年製
前回に引き続き分解作業です。
今回は脱進機(アンクル)です。
時計から発せられる“チクタク音”はアンクルとガンギ車の動きから発せられる衝撃音によるもので、輪列機構から回転運動で伝わる力を往復運動に変換し、調速機構に伝える部分です。
脱進機は調速機構であるテンプとともに状態による精度への影響が大きく、高速での往復運動の影響でオイルや摩耗などにより、状態に変化が起こりやすい場所でもあります。
ご依頼品の脱進機の状態はツメ石にオイルの固着があり、ホゾに摩耗が見受けられました。
固着したアンクルのツメ石のオイルを落とし、摩耗はホゾ磨きにて対応致しました。
Cal.1570 脱進機アンクルのホゾ、ツメ石の状態を確認します。
上下のホゾに摩耗が見受けられ、乾燥して固まってしまったオイルがツメ石に固着していました。
このような状態では、輪列機構のガンギ車とツメ石との動きに摩擦が増し、テンプに伝わる力が妨げられ、振り角が落ちる原因になってしまいます。
アンクル先端部分の状態を確認します。
テンプの往復運動の接触による影響で摩耗することがあります。